今回、野田が描くのは、ズバリ“禁断の恋”。ベースとなるのは、ウィリアム・シェイクスピア不朽の名作、『ロミオとジュリエット』である。対立する間柄にも関わらず、恋に落ち、密かに結婚したモンタギュー家の一人息子ロミオと、キャピュレット家の一人娘ジュリエット。動乱の時代のなか、ジュリエットはロミオと添い遂げるべく、仮死の毒で偽装自殺を図る。しかし、ジュリエットが本当に死んだと勘違いしたロミオは、彼女の墓の前で服毒し、自ら命を絶ってしまう。ほどなく仮死状態から目覚めたジュリエットは嘆き悲しみ、遂にはロミオの短剣を手に、彼の後を追ってしまうのであった――。
だが……もし、悲恋のロミオとジュリエットが、本当は生きていたとしたら??
そう、何と『Q』には“2人のロミオ”と“2人のジュリエット”が登場する。それは広く語り継がれてきたロミオとジュリエットと、“その後のロミオとジュリエット”なのだ!!過去にも野田はドストエフスキー『罪と罰』や、坂口安吾『桜の森の満開の下』、『夜長姫と耳男』を下敷きに、大胆不敵な剽窃(=remix)を加え、全く新しい戯曲を披露してきた。だが、この『Q』は、すでにその遥か上の上を行く、シェイクスピアも真っ青の予測不可能な物語となる様相を呈している。
しかも、謎に満ちた野田の企みに引き寄せられるかの如く、前代未聞のキャストが集結する。
“4人のロミジュリ”を演じるのは、松たか子、上川隆也、広瀬すず、志尊淳。まさに誰も予想し得なかった、今をときめく4名の顔合わせが実現する!!さらには、橋本さとし、小松和重、伊勢佳世、羽野晶紀、竹中直人、そして野田秀樹と、世代もキャリアも異なる総勢10名の豪華俳優陣が一堂に会する!!このうち、上川、広瀬、志尊、橋本、伊勢、竹中の6名がNODA・MAP初参加。特に、広瀬は本作が舞台初挑戦となるのだから絶対に見逃せない。
演劇、オペラ、バレエ、映画、音楽、ミュージカルと、古今東西、400年以上ものあいだ、様々なアプローチで描かれてきた『ロミオとジュリエット』。それを、敢えて、この2019年に持ち出す以上、無論、一筋縄でいく物語のはずはない。