今年5月から7月、『フェイクスピア』で圧巻の演劇体験を観客に届けたNODA・MAPが、この秋、早くも番外公演『THE BEE』を引っ提げて劇場に再臨する!!
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件に触発された、野田秀樹が、筒井康隆の小説『毟りあい』を題材に、ロンドンで現地演劇人とワークショップを積み重ね、書き下ろした英語戯曲『THE BEE』。
初演は2006年のロンドン。2007年には東京で日本語版が初演され、これまでにNY、香港、エルサレム、パリなど10カ国14都市で上演、各地で称賛されてきた『THE BEE』が、新キャストを迎えて2021年秋、日本に帰還する。
2012年の『THE BEE』松本公演に衝撃を受けた阿部サダヲは、「いつかこの役をやりたい」と思っていた。一方、野田も「次に上演するなら阿部サダヲで」と考えていた。そんな両者の思いが今回実現。繊細かつ豊かな身体性を誇る演技で観客を魅了する阿部サダヲは狂気に駆られていく平凡なサラリーマン[井戸]をどう演じるのか?
映画、テレビドラマ、CMと八面六臂の活躍を見せ、近年は数々の舞台でも体当たりの演技を見せる長澤まさみが、遂にNODA・MAPに初出演。演じるのは[リポーター]役とストリップダンサー[小古呂の妻]役。阿部演じる[井戸]と対峙する“脱獄囚の妻”であり、“脱獄囚の息子の母親”でもある彼女の妖艶な変容の行方は観客の目を釘付けにするはずだ。
河内大和にも注目だ。近年のNODA・MAP『エッグ』、『MIWA』、『「Q」:A Night At The Kabuki』では抜擢の身体能力で個性的なアンサンブルを担ってきた河内。昨年の東京芸術劇場主催「東京演劇道場」公演『赤鬼』では客演として野田から主要キャスト・ミズカネ役を任され、独自の存在感を観客に印象付けた。今回、『THE BEE』で演じるのは横柄な権力を振りかざす[百百山警部]と、スキャンダルを消費するように群がるマスコミのリポーター役など。類稀なる存在感は新生『THE BEE』でどのように発揮されるのか?
さらにサプライズは川平慈英。NODA・MAP初参加となった『フェイクスピア』における鮮烈にしてポジティブな存在感も記憶に新しい川平が異例の連続登板を果たす。野田が全幅の信頼を寄せるその強力なインパクトを誇る声と肉体から演じられる下卑た警官[安直]、犯人の[小古呂]、そして6歳児[小古呂の息子]、[リポーター]と目まぐるしく演じられる四役はいかに!?
阿部サダヲ、長澤まさみ、河内大和、川平慈英。
いずれ劣らぬ実力派4人のユーモアとスピード感に溢れるアンサンブルワークに期待が高まる。
無論、演出は野田秀樹。2006年のロンドン初演以来、様々なユーモアと観客の度肝を抜くアイデアに満ちた『THE BEE』で演出・出演([井戸]、[小古呂の妻])の両面から「生の演劇の力」を提示し続けてきた野田が、今回はその経験を総動員してNODA・MAP作品としては初めて演出に専念する。
幾つもの役をスイッチする4人の役者たちのスリリングな演技。“鉛筆”をはじめとする小道具ひとつひとつの“見立て”によって過剰なまでに刺激される観客の想像力。まさに「10秒に一度、何かが起こる」(野田)。劇場における“生の舞台”ならではの緊張と興奮が詰まった新生『THE BEE』が、未だ混沌の只中にある2021年の日本に一針を刺す。
NODA・MAP番外公演『THE BEE』、是非ともご注目ください!