1992年秋、野田秀樹が『劇団夢の遊眠社』解散直後に英国留学に旅立ってから、ちょうど10年の年月が経ちました。この間、NODA・MAPをベースにした精力的な演劇活動と平行して、定期的にロンドンに長期滞在し、英国演劇界との交流を深めながら、独自の道を模索してきました。
そして、この度、その10年間の海外での活動の成果とも言うべき、初めてのNODA・MAP英国公演<RED DEMON>が決定しました!
『赤鬼』英語戯曲を携えての野田秀樹・ロンドンデビュー公演です!
1996年秋にNODA・MAP番外公演として初演された『赤鬼』は、人間の共同体のボーダーで必ずおきる普遍的なテーマを、小スペースの臨場感あふれる劇空間の中で浮き彫りにし、
「作品も役者も、そして観客さえも成長していくよう舞台」(朝日新聞)
「言葉の遊びの中に詩情が漂う」(毎日新聞)
と高い評価を獲得しました。
その後、98年にはタイ語に翻訳され、タイ人キャストによる公演(世田谷パブリックシアター制作・99年にも再演)も成功を収め、この作品がもつテーマの普遍性をよりクリアな形で意識する結果となりました。
そして、99年夏より、ロンドンで英国人俳優たちと定期的に<AKAONI>ワークショップを積み重ね、日本独自の文化的な要素とヨーロッパ文化圏のメンタリティを融合させた、英語版オリジナルとも言える<RED DEMON>英語脚本が完成したのです。
俳優たちが自由自在に、かつダイナミックに、即興性の面白さを十分に見せるよう加味したスタイル。ヤング・ヴィック劇場の舞台を客席が四方から取り囲み、臨場感溢れる空間で観客の想像力を刺激する、野田秀樹作品の独自性とクオリティの高さが、英国の演劇ファンの目の前に、至近距離で出現します。
野田秀樹は、また新たな扉を開き、前進しています。
今後の海外での活動にも是非ご注目ください。