キル
羊の国の洋服屋の息子として生まれたテムジンは、父の遺志を受け継ぎ、祖先の名をとってブランドにした「蒼き狼」の制服を世界の人々に着せたいという悲願を抱く。 羊の国を制したテムジンは、絹の国から来たシルクと恋に落ち、彼女を手に入れるために、絹の国を攻め落とす。 やがて生まれた息子バンリの成長につれ、今度は息子にとって代わられる恐怖に襲われるようになる。世界制覇の夢が達成するかに見えたその時、西の羊の地から、 「蒼い狼」という偽ブランドが登場し、 その制圧に、バンリを向かわせるが・・・。 裏切りをめぐる愛憎の果てに、 「蒼き狼」「蒼い狼」との最後の闘いが始まる・・・。
モンゴルの果てしなく広がる蒼い空。永遠へと導かれるような大草原。自由や夢を象徴するかのような風景の中で繰り広げられる権力闘争、愛憎、葛藤、そして裏切りという汚れた現実。 しかし、夢と現実のふたつの世界が複雑に交錯し合いながら進行するこの物語は、汚れた現実の只中でさえもなお、蜃気楼の遥か彼方を夢見るロマンに満ち溢れています。
モンゴルの英雄・ジンギスカンの侵略と制圧の戦いを、ファッション戦争に見立てた奇想天外な面白さ。 そして、野田ワールドに漂う独特のロマンチシズム・・・。