NODA・MAP、約1年半ぶりの本公演がいよいよ始動!第1回公演から10年目の2004年、第10回公演として野田が選んだ演目は、76年発表の超初期作品「走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト!」。
今、原点の作品に向き合う彼の狙いは!? NODA・MAP10年の軌跡に注目!
新国立劇場での「透明人間の蒸気」上演、オペラ「マクベス」演出、そして、「赤鬼 ロンドン・タイ・日本 3バージョン」連続上演と、2004年も多忙な活動を展開している野田秀樹。
その2004年を締めくくり、そして、来る2005年の幕開けを飾るのはもちろん、野田自身が「一番自由に創作できる活動基盤」と言うNODA・MAP本公演です。前回公演「オイル」から約1年半ぶり、そして、NODA・MAP10年目にあたる今回の公演のために野田が選んだ作品は、劇団夢の遊眠社で76年に初演以後、86年6度目の上演まで、その才能のすべてを込めて練り上げた傑作「走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト!」。最後の上演から18年の時を経て、70年代から80年代の名残が強く残るこの群像劇に、21世紀の今、野田は再び向き合い、新たなアプローチで取り組みます。
物語は、少女・芙蓉(深津)が愛用する「鏡台」を中心に、鏡の面の「こちら岸」と「向こう岸」の両側を目まぐるしく往復することで展開します。
登場する人物の大半は、鏡面を境に「こちら」と「向こう」で互いに反転し、呼応しあいます。
「こちら岸」には、久留米生まれのしがない下着泥棒の少年スルメ(中村勘太郎)と彼のあこがれの少女・芙蓉(深津絵里)がいて、スルメは下着を盗むことで少女への思いをつなごうとします。
一方、「こちら岸」を反転させた「向こう岸」の世界では、華麗な人気スター、メルス・ノメルク(河原雅彦)がゲスト出演した結婚披露宴から花嫁・零子(小西真奈美)と逃亡し、「七人の刑事」(古田新太ほか)がその後を追います。芙蓉の鏡で二つの世界に隔てられた住人たちは、いつしか反転する互いの姿を求め合い、鏡面を目指して突き進み、そして、その果てには・・・・・。全編を貫くスピード感、現実と虚構、時間と空間を自在に行き来するまばゆいほどの劇的展開、めくるめく言葉遊びの連続、そして、舞台を大きく包みこむ深い叙情感・・・・と、野田戯曲の醍醐味が凝縮されている作品と言えるでしょう。
出演は、NODA・MAP4作目の出演となる深津絵里、野田版歌舞伎2作品の演技が絶賛された中村勘太郎、「赤鬼」に引き続き、野田作品連続出演が話題の小西真奈美、舞台から映像までマルチな才能を発揮する河原雅彦、野田を常に刺激し続ける盟友古田新太、サモ・アリナンズ主宰の小松和重、意外にもNODA・MAP初出演となる浅野和之、劇団カムカムミニキーナ主宰の松村武、惑星ピスタチオを経て幅広く活躍中の腹筋善之介、人気お笑い集団「ジョビジョバ」から俳優として飛躍した六角慎司、文学座の若手で「透明人間の蒸気」から続投の・櫻井章喜、NYLON100℃の看板女優・峯村リエ、天性の音楽的センスが演技にも生きる濱田マリ、演劇弁当猫ニャー解散後の初めての舞台となる池谷のぶえ という顔ぶれが揃いました。
20歳の頃に書いた野田戯曲の原点とも言うべき場所に、現在の演劇界でこれ以上望めない
最高のキャスト陣の力を得て、野田秀樹は立ち戻ります! その思いの先に産みだされるものは?!
「走れメルス〜少女の唇からはダイナマイト!」に是非、ご期待ください!
上 演 記 録
(1)劇団夢の遊眠社 第2回公演「走れメルス 燃える下着はお好き」
1976年10月 会場:VAN99Hall
(2)劇団夢の遊眠社 第3回公演「走れメルス 改訂版」
1976年11月 会場:東大駒場学生会館
(3)劇団夢の遊眠社 第7回公演「走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!」
1978年12月 会場:上智大学小劇場・駒場小劇場
(4)劇団夢の遊眠社 第15回公演「走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!」
1981年6〜7月 会場:新宿もりえーる
(5)劇団夢の遊眠社 第20回公演「走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!」
1983年1月 会場:紀伊國屋ホール
(6)劇団夢の遊眠社 第30回公演「走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!」
1986年7〜8月 会場:本多劇場(東京)、近鉄劇場(大阪)